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Vol.9 佐川浩明

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際コーポレーションに入社する前は設計事務所に勤務し、賑わいをなくした商店街を再生する仕事をしていたという、担担麺専門店『蒼龍唐玉堂 六本木』の店長・佐川浩明。入社して18年目になる現在の仕事について、外国人スタッフの活用に焦点をあてインタビューしました。



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蒼龍唐玉堂 六本木 店長
佐川浩明(52歳)
大学卒業後、専門学校で設計を学び、設計事務所にて環境整備事業に従事。商店街の再計画を行い、数々の商店街を復活させた。その後、際コーポレーションに転職し、数々の麺飯店を経験し、現在、『蒼龍唐玉堂 六本木』の店長を務める。


 

13席しかない中華料理店で月間1,500万円の売上

「際」に入社したのは今から18年前です。それまでは環境整備を行う設計事務所で働いていました。そこでは、近隣に大型スーパーやショッピングモールなどができて売り上げが落ち、活気がなくなってしまった商店街を、国や町を巻き込んで再計画をする事業を担当していました。谷中銀座商店街のような有名な商店街を手掛けるなどやりがいはあったのですが、いくつか案件を手がけるうちに、商店街という大きな単位で動くより、商店街にあるひとつのお店を行列ができるほど繁盛させて人の流れを作った方が、本当の意味で商店街が元気になるということに気が付きました。
そこで転職したのが、当時まだ37軒しか店舗のなかった「際」です。面接に行った翌日には、中島社長が車で迎えに来てくれて、そのまま運転を変わると当時の福生や八王子の人気店を1日かけて見て回りました。入社してからというもの数えきれないくらい「際」のお店で働きましたが、今でも印象に残っているのが、今はなき八王子の『万豚記』と『紅虎餃子房』です。万豚記はカウンター13席しかなかったのですが、1カ月で平均して1500万円を売り上げていました。また、紅虎餃子房も1000万円の売り上げがあり、繁盛するお店を肌で体験できたのは貴重な経験でした。一方で、お客さんがなかなか来ない拝島のラーメン屋を一人で回していたこともありました。それまでずっと料理人がいて、ホールを担当していたのですが、このお店では、一から十まですべて自分でやらなくてはいけません。毎日お店を閉めた後に寸胴に残ったラーメンのスープを捨てて、底にたまった脂の「おり」を洗う大変さを経験し、今まで厨房の人たちにどれだけお世話になっていたか、皆でお店を回すことのありがたさを痛感しました。

好立地だけに、人材不足が顕著な六本木で試行錯誤

現在、店長を務めている『蒼龍唐玉堂 六本木』は、地下鉄「六本木駅」から徒歩2分の場所にあります。立地に恵まれたことと、担担麺に特化したコンセプトがよかったのか、オープンしてから平日は朝7時まで、土日は朝5時までたえずお客さんがくるので、売り上げも好調です。ただ、近くに複合施設六本木ヒルズやミッドタウンがあることから、スタッフの時給は自然と高くなってしまいます。日本人で日本語が話せるというだけで、未経験の人でも1350円くらいはもらえるのではないでしょうか?うちはそんなには出せません。そこで考えたのは、外国人スタッフを採用することです。思えば入社してからずっと海外の人たちと働いてきました。はじめは、文化や価値観が違う人と働くことは、自分が元来不器用で思うように動けないことも相まって、ストレスでかなり体重が減りました。それでもこの18年間で、どうすれば外国人スタッフとうまく働けるのか自分なりに会得し、今はうまくお店が回るようになりました。

「ケンカのあとはフォローを入れる」「それぞれの働き方を容認する」

今では一人っ子政策から中国人の学生アルバイトがぐんと減ってしまいましたが、当時は多くの中国人が働いていました。気性が荒い人が少なくないので、ケンカっ早い半面、次の瞬間には笑顔で話すなんてことがしょっちゅうありました。そこで私が学んだことは、顔をひっぱたかれるくらいの言い合いをしても、根に持たないでフォローを入れることです。また、現在採用が増えているベトナム人やタイ人にも共通することなのですが、空いた時間に無理に仕事を詰め込まず、しっかりと休憩時間をとります。その分、オンになったときの集中力が違います。このような性質を理解して彼らに仕事を任せたり、シフトを工夫して組むようになってから、私について来てくれるようになり、辞めないで一人一人が長く働くようになりました。
とはいえ、いろいろ工夫を重ねても、ここ数年の人材不足、時給の高騰は厳しい現実です。これは六本木に限らずどこの日本の飲食店も同じだと思います。そこで、優秀な人材を確保するために、飲食の経営を学んで祖国に帰ったら自分の店を持ちたい人だったら、日本語がひとことも話せない人でも採用しています。はじめは指さしでメニューをとっていた人でも、少しずつ日本語を覚えて、接客ができるようになるものです。厨房でも日本語で話しながらボディランゲージでもコミュニケーションを密にとって、料理の一から十まで教えます。まだまだ、日本人と比べて衛生感覚が異なる、接客が無愛想など課題はたくさんありますが、これからもっと増えていく海外人材を生かすべく努力し続けます。また、時代の変化とともに、正社員やフルタイムにこだわらず、働きたいと考えている主婦やフリーターの人も多くなりました。そのニーズに合わせて、週に1回、数時間でも働きたいという人を採用しています。一人でも多くの人に一日でも長く働いてもらってお店の環境を整え、来てくださるお客様においしかったと満足してもらいたい、そんな思いで日々精進しています。



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蒼龍唐玉堂 六本木

東京都港区六本木7-17-16 米久ビル1F
03-3470-0451
【月-土】11:00 – 翌7:00
【日】11:00 – 翌5:00
定休:無休
35席
15:00~喫煙可



 
※掲載内容は2016年11月25日現在の情報となります。